「きらり」に登録している就労支援26施設を対象にアンケート調査および補足的な聞き取りを行いました。このうち約3分の1を占め、働くことを重視した制度である「就労継続支援B型」の施設からの回答をもとに、課題の原因を探りました。

(1)外部連携の有無が工賃と関係

アンケート調査から、外部の専門家等との連携と工賃との相関関係がわかりました。有名洋菓子店にプロデュースしてもらって焼き菓子を製造している施設や、メーカーと協力して手土産品を受注・製造している施設などです。このような外部連携がある3施設の月額平均工賃は29,727円であり、外部連携がない施設の月額平均工賃12,986円の2.3倍となっていました。

(2)施設スタッフの意識がカギ

なぜ外部と連携するのか。外部連携に積極的に取り組む施設の職員に話を聞くと、「工賃を上げるためには、顧客から選んでもらえる、売れる商品をつくらなければいけない。そのためには品質を高めることが重要。自分たちの努力でできることは限られているので、外部の力を借りている」とのことでした。アンケート調査から「工賃を向上したい」という意識はどの施設も共通して持っているものの、実際の取り組みに対する考え方にはバラつきがあることがうかがえます。

(3)小規模な施設の悩み

逆に、外部連携に取り組んでいない工賃の低い施設からは「日々の支援業務が忙しく、工賃アップを考える余裕がない」「障がいの種類により、特性上できる商品に限りがある」という声が聞かれました。施設間の職員交流がないことから、他の施設の様子をよく知らない方も多いことがわかりました。このように、売れる商品の開発や販路の開拓に関する知識や情報がないことが、工賃アップにつながらない原因となっています。

この課題に取り組んでいる団体