愛知県の外国人聴覚障害者数は約500人(推計)

愛知県内の外国人住民数は209,351人。人口に占める外国人比率は、東京都に次いで多い2.8%です。聴覚障害者数に外国人比率をかけると、愛知県には約500人の外国人聴覚障害者が暮らしていると推計されます(図1)。

ろう国際課題(図1)

愛知県内54市町村のうち、外国人聴覚障害者を1人以上把握しているのは11市町村のみでした。それらの市町村の外国人聴覚障害者数の割合から推計すると、愛知県では164人の外国人聴覚障害者が存在すると考えられます(図2)。推計の約500人と比較すると、行政に把握されていない外国人聴覚障害者が多く潜在していることがうかがえます。

ろう国際課題(図2)

さらに、外国人聴覚障害者の日本語学習について調査したところ、以下のことがわかりました。

≪アンケート調査より≫ 
「日本語を学びたい」という相談がない。相談があっても紹介先がない。
外国人聴覚障害者による「日本語を学びたい」との相談の有無の質問に対し、「ある」と回答したのは4市町村にとどまり、行政にはほとんど相談していないことがわかりました。
次に、愛知県内54市町村に加え、51の日本語教室・外国人支援団体に対し、外国人聴覚障害者から「日本語を学びたい」という相談があった場合の対応について質問した結果、「紹介できる場がない」の回答は75.4%でした。把握数より推計した164人に「紹介できる場がある」の24.6%をかけると、わずか41人、全体の1割未満です。「紹介できる場がある」の中でも、外国人聴覚障害者の受け入れができない団体を紹介先としている回答もあり、「日本語を学びたい」という相談に十分に対応できていないことがわかりました。

≪ヒアリング調査より≫ 
「日本語を学びたい」と思う機会がなかった。相談できる場所を知らなかった。
名古屋ろう国際センターで日本語を学ぶ韓国人ろう者から、日本語学習を始めるまでの経緯を聞きました。学ぼうと思うまでにはさまざまな葛藤があったようです。
・日本語がわかる日本人ろう者の夫がいたため、日本語を学ぶ必要性を感じていなかった
・日本語を学ぶことで生活にどう役立つのか、イメージがわかなかった
・今後の日本での生活を考えて、いざ「日本語を学びたい」と思っても、相談できる場所がなかったため、意欲を失ってしまった

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