日系人労働者の受け入れから25年が経過しましたが、外国人向けの子育て応援システムは不十分のままです。彼らは日本の子育て支援や保育園・小学校の様子や決まりを知らないまま、子育てをしています。外国につながる人へのアンケート結果(※)では、予防接種制度について知っている人は54.9%、育児教室については33.2%となっています。乳幼児検診を受けていれば、特別な配慮を必要とするかどうかを早期に発見し、療育・教育を受けることができますが、言葉の壁から行政支援を受けるチャンスを逃し、時が経ってしまっているのが現状です。一方、日本の保育園や小学校も受け入れに戸惑っています。保護者に行ってほしいことがあっても言葉の壁に阻まれ、十分に伝えられないことが多いからです。

外国人の保護者に必要な情報が届きにくいため、基本的ケア(検診に連れていく、温かい言葉をかける、話をよく聞くなど)の大切さが十分理解されていないこともあります。外国語の母子手帳を渡す市町村もありますが、子育ての不安を相談できる人は少なく、母国で子育てをしていれば周りの人に不安を相談できていたかもしれないことが、移り住んできた国では容易ではありません。

乳児、幼児期に行うスキンシップや絵本の読み聞かせ、童謡に親しませることなどが不十分で、これらの子どもたちは情緒不安定気味、語彙が少ない、忘れ物が多いなどの傾向が見られます。そのため、年齢相応の生活力や学力が身につきにくいということがあります。

日本で生まれ育った子どもは、0歳から小学校入学までに1,500~3,000語を身につけて入学の時期を迎えます。親が言葉がけをし、子どもの話をよく聞き、家事や遊びのなどの経験を共有することはその後の語彙の獲得に影響を与えます。しかし、外国につながる子どもの場合は、小学校の学習に必要な語彙を獲得しにくい現状があります。

このような状態は愛知県を始め日本全国に広がりつつあり、その改善には、子育て情報や子育て中に必要な活動を、母語を加味してわかりやすく知らせることが必要です。

※:あいち多文化共生推進プラン2013-2017(2011年度)

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