「第3子を出産。退院した翌日から上の子の保育園の送迎や家事をした。実家の両親は健在だが、要介護の祖母がいるため頼ることができなかった」。これは日進市で子育てをしている母親から実際に聞いた声です。日進市の出生数は1,045人(2013年)。この数字は2030年ごろまで維持されると推測されています。1994年から人口が急増し、核家族化が進行する同市では、6歳未満の子どもがいる世帯のうち 91.2%が核家族世帯(※1)です。
子育て中の家庭を対象に2015年5月に実施した「子育ての不安・負担感」に関するアンケート調査(※2)では、59%が「自分の時間がない」、56%が「家事が思うようにできない」と回答しました。また「自分の代わりに育児をしてくれる人がいない」と答えた人は14%でした。
日進市には「にっしんファミリー・サポート・センター」の育児支援制度がありますが、家事支援は対象外であるにも関わらず、問い合わせは年に十数件あります。行政による相談事業は、来所相談が103件、 助産師による電話相談が388件ありました(2013年)。また、1歳未満の子どもがいる家庭への訪問事業として「新生児全戸訪問」と「養育支援訪問」がありますが、前者は産後1回のみ、後者は特に育児が困難とされたケースが対象であり、行政の制度だけでは十分とは言えません。
核家族化が進んだ日進市において、子育て家庭の多くは近くに頼れる人がなく、毎日の育児や家事が「つらい」と感じた際の受入先がないのが現状です。SOSを発信している子育て家庭に支援を届け、より深刻な状態になるのを防ぎ、豊かな親子関係を育むことはその後の子どもの人生も豊かにします。また、子育て家庭が地域支援を通して地域に頼れる人がいることを知り、「子育てはひとりでがんばらなくてもいいんだ」と思えるようになるには、地域の理解を欠くことはできません。
※1:2010年度国勢調査より
※2:「あいちの課題深掘りファンド」2015年度助成事業より。日進市の子育て家庭を対象にアンケート調査を実施し、271名から回答を得ました。
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