1990年に日系ブラジル人などを外国人労働者として受け入れたとき、家族用の教育システムをつくることなく不十分のまま25年が経ちました。当時来日した外国人労働者たちの孫に当たる子どもたちが学習言語を身につけ、専門教育を受け、定職に就くことができれば、祖父母や親が高齢で、介護が必要になっても家族内で支えることができますが、定職に就けない場合、家族そろって生活保護の対象になりかねません。

2012年度の日本語指導が必要な外国人児童生徒数(日本国籍保有者を含む)は33,030人余、愛知県は最多で6,991人。彼らの高校進学率は中学校の在籍人数の約25~30%で、進学後の中途退学者も多く、卒業しても就職できないこともあります。県内のある定時制高校の外国につながる生徒7名の進路は、国公立進学希望3名(定時制高校の使用教科書は簡単なものなので、合格の可能性は0に近い)、AO入試合格者1名、私大希望者(不合格の場合はバイト生活になる)、就職したいが正社員の口がない生徒1名、家業従事1名、結婚予定1名という状態で、高校を卒業しても就職先がないといった状態です。
一方、雇用する側は人手不足にも関わらず、彼らの日本語能力(特に読み書き)に不安を感じ、正社員候補者としていません。働きたい若者がいて、雇用したい企業・団体があるにも関わらず、読み書き日本語能力の訓練不足がこのミスマッチの原因のひとつです。
外国につながる生徒は、小中学校学習内容の理解が低く、4~6年生配当漢字の習得も不十分です。しかし高校の教科書は教育漢字、常用漢字を使って記述されています。高校国語の教科書は教育漢字1,006字、常用漢字約1,500字の習熟が前提となっていて、日本文学教材、古典、随筆文の学習が中心で、読解に割く時間が多く、外国につながる生徒が卒業後、企業で働く際に必要な日本語を習得するのに必要な語彙についての教育はほとんどないのが現状です。

さらに、県立高校の定員を減らすという施策(人口減少時代にも関わらず、15歳の子どもが減ったら、それに対応して定員を減らす)が残っています。言語の関係で偏差値40を切る生徒を受け入れ、必要な支援(母語を加味した教材の用意、語学支援者の配置)を用意したクラスがあまりにも少ないのが現状です。

この課題に取り組んでいる団体