永住を視野に入れている豊橋市内の外国人市民は、生活がある程度安定しており、今後の方針も決めて子どもたちへの教育投資もある程度なされているため、希望高校への進学ができています。しかし、恵まれている家庭環境の子どもたちはほんのわずかで、大半は永住、定住と帰国の間で揺れ動く家庭環境で育っている子どもたちです。そのような家庭は経済状況が安定せず、教育より生活優先となっています。それゆえ、保護者自ら学習を指導できない、あるいは学習塾に通わせることができない子どもたちの学力は高校進学レベルにはほど遠いのが現状です。また、経済状況の関係で定時制の高校に進学した子どもたちに対してはほとんど就職口がなく、アルバイトを続けながらフリーターになっているケースが多く、豊橋市内の定時制高校の場合、2012年度から2014年度までに卒業した外国人生徒約200名のうち、正社員として就職できた生徒は10人にも満たない状況となっています。

派遣という働き方から抜け出せない親や、正社員ではなくフリーターを続けている先輩の現状などを見て、自分の将来に希望や夢が持てず、学校生活や学業に対して積極的になれないため、豊橋市内の定時制高校の卒業率は日本人生徒の95%に対し、外国人生徒は75%程度にとどまっています。

現状の学校教育や家庭教育では、語学に関してアドバンテージを持つ外国人の子どもたちの能力を100%引き出し、活かせるようにすることは非常に厳しいです。また、彼らが永住者、あるいは帰化をして日本に住み続けるために必要な職業教育や情報提供の機会も少ないのが現状です。今ある能力を活かせないまま不本意な状況にいる彼らをそのままにして置くことは、日本社会にとって大いなる損失です。

今後、日本社会で必要とされる「グローバル人材」は留学生ではなく、今目の前にいる彼らです。幼少時に日本に来日した、あるいは日本で生まれた外国にルーツを持つ彼らを日本社会で必要とされるグローバル人材として育てていくことは、日本の底辺の仕事を担わせるために出稼ぎとして彼らの親を受け入れた日本社会の義務ではないでしょうか。

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