障がいを持つ子どもたちは健常の子どもたちと比べ、野外で活動したり、外に出かけられる機会がありません。「行動援護」などの公的な支援サービスもありますが、西三河地域には愛知県民の21%が在住しているにもかかわらず、支援サービスの事業所数はたった7%しかなく、人口割合と比較して支援サービスが不足しています。
一方、親の立場に立ってみると、周囲の目が気になるなど、外出に対して不安があり、あきらめてしまっています。障がい者対応のトイレやエレベーターの設置といった、設備面でのバリアフリー化は進んできていますが、このような「心のバリア」がまだまだ残っているのが現状です。
また、子どもの成長にとって、思春期・青年期の多感な時期に、外出や他者とのコミュニケーションの経験が不足することは、その後の社会性や生活力の形成に大きな影響を及ぼします。
2人の子どもの事例を紹介します。
(1人目)Tくん
重度自閉症の子どもで、一般の人の目が気になります。母親が外に連れ出すのは難しいと思い込み、閉じこもりがちでした。身体能力は高いので自然の中でアクティビティをしたいけれど、外出すると何をやるかわからない。放課後デイサービスで外出の機会が増えて、キャンプなどをさせたいと思っていますが、家族だけでは不安があり、なかなか一歩が踏み出せません。
(2人目)Bくん
3兄弟の長男で、ダウン症の子です。弟たちは2人で出かけることができますが、長男だけ取り残されています。両親だけで3人の面倒を見るのは大変なため、いろいろ我慢しなくてはいけません。兄弟に対しても我慢させているのが申し訳ないと両親は思っています。
TくんやBくんのような障がいを持つ子どもが野外で活動したり、外に出かけたりすることが困難な背景には、下記のような課題があります。
(1)障がい児向けの外出支援サービスがない
(2)外出支援サービスの担い手がいない
(3)外出しやすい、野外活動がしやすい場所や注意点などの情報が得づらい
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