愛知県では、約12%の若者が就職をしても1年未満で離職(※1)。また、職場の人間関係に悩み、仕事上のストレスが原因で離職する人は約23%もおり(※2)、働きたくても働き続けることができずに悩む若者が存在しています。

その中には、発達障がいの傾向がある若者や、軽度発達障がいと診断される可能性のある若者(以降「発達障がいグレーゾーンの若者」と表記)が含まれていることが想定されます。その対象と考えられる2人の若者の事例(悩み)を紹介します。

(1) 人や社会と関わる経験の積める居場所がない
Aさんは小・中学生の頃から学校への行き渋りがあり、やっと進学した高校は1日も登校できずに中退し、ずっと家で過ごしていました。18歳の頃、工場で働き始めますが、職場で人と話すことができずに孤立し、わずか半年で離職。誰にも相談できず、何から始めていいのかもわからず、再び無職の状態が続きました。Aさんは長く一人で過ごしていたので、他人とどう接していいのか学ぶ機会がありませんでした。

(2) さまざまな仕事体験を通して自信をつけ、自分ができる仕事を見つける居場所がない
Bさんは高校卒業後、工場に就職しますが、同じ作業を繰り返す仕事が合わず、体調を崩して離職。その後、職業訓練校に通い再就職しますが、作業スピードが遅く、頼まれた仕事もなぜかうまくできず、上司に叱られてばかり。自信を失い、再び離職してしまいました。Bさんは、公的な就労支援機関、障害者向けの就労支援機関へ相談しますが、自分に合う仕事はわかりませんでした。

働きたくても働き続けることができず悩む発達障がいグレーゾーンの若者の就労支援には、「発達障がいについての知識と専門的な支援」に加え、「上記のような居場所」が必要です。愛知県内では名古屋市が「名古屋市若年者自立支援サテライト事業」で、自立に向けて悩みを抱える若者を対象に居場所を開いていますが、西三河にはこうした仕組みや居場所がありません。

※1:厚生労働省「新規学卒の離職状況」より推計
※2:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」より算出

この課題に取り組んでいる団体