愛知県が2015年3月に発表した「重症心身障害児者の実態調査」によると、2014年4月1日現在、愛知県内(名古屋市を除く)の重症心身障がい児者のうち、意思表示がほとんどできない人は50.2%(666人)で、言葉は話せなくても表情や目の動き、声や手ぶり・身ぶりで伝えることができる人は33.8%(449人)います。この中には伝えたいことがたくさんあるのに、やりたいことがいっぱいあるのに、意思表示が困難であるために伝達できない子どもたちが潜在的にいます。一人で座ることができない、歩けない、体が動かない、声を出すことができない。だからやりたいことをあきらめていく。そんな子どもたちがいます。
また、こうした障がいのある子どもを育てるのは専門知識に乏しい親にとって難しく、その子の意思が存在するにも関わらず、子どもが発信する「わずかな合図」を親が見逃してしまうことも多くあります。
一般的に重い障がいを持つ子どもは特別支援学校へ通います。地域の学校へ行くことは物理的に難しいからです。見たり、聞いたり、考えたりすることは健常者と変わらなくても、医療的ケアの必要な子、医療的ケアの必要性は低いものの日常生活で全介助を必要とする子が、成人になって仕事や余暇を楽しむ機会を失っている現状があります。
障がいのある児童の育成については、できるだけ早期に適切な医療的リハビリテーション、指導訓練などの療育を行うことにより、障がいの軽減および基本的な生活能力の向上を図ることができると言われています(内閣府「障害者施策に関する行動実績」より)。しかし、尾張西部(10市5町1村)には、指導訓練などの療育をする1日定員5名の重症心身障がい児対象のデイサービスが一宮市に2ヶ所しかありません(全国重症心身障がい児デイサービス・ネットワーク登録事業所より)。尾張西部各市町村に最低1ヶ所整備することを考えると、あと15ヵ所必要になり、まずは拠点を作ることが急務です。
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