【多文化共生】NPO法人多文化共生リソースセンター東海

提案
現状を改善し、一人ひとりに合った支援環境を整えるために、3つの取り組みを提案します。
1.就学指導委員会への“外国人の子どもの状況を理解する委員”の参画
特別支援の必要性の有無を判断する要綱・規定のない多くの自治体では、就学指導委員会でその判断が行われていることがわかりました。この委員会に外国人の子どもの文化的・言語的背景を理解する委員が参加しているかどうかは、把握できていませんが、特別支援の判断基準および日本語指導の必要の有無の判断が明確な基準のもとで行われていない現状であることはわかりました。したがって、個々への支援を十分に行っていくためには、判断が行われる場に“外国人の子どもの状況を理解する委員”の参加が必要不可欠です。

2.県内ネットワークの構築
外国人の子どもに直接関わっている学校教員や臨床心理士、支援に関わるNPOスタッフ、またその子どもの保護者に、各々に蓄積してきた指導や支援のノウハウがあるものの、今回の調査からはそれらを県内で共有できる仕組みがないことがわかりました。発達障がいが疑われる外国人の子どもに対して適切な支援の在り方を構築していくためには、個人が蓄積してきたノウハウを地域社会全体で共有できるような仕組みづくりが大切です。

3.「特別の教育課程」の開始に伴った体制のあり方
2014年4月より「特別の教育課程」が始まりました。この課程は学校教育法施行規則の一部を改正して公布された新しい制度です。これにより、日本語能力に応じた特別の指導(日本語指導)が必要な場合、特別な教育課程を編成して指導を行うこと、一人ひとりに応じた日本語指導計画の作成・評価が実施できるようになりました。日本語指導が必要な児童生徒数が全国1位の愛知県において、日本語指導計画の作成・評価を行う際は、子どもの文化的・言語的背景を理解した上で発達障がいの疑いの有無を考慮しながら、丁寧な実態の把握を行うことが重要です。そのために、外国人の子どもに関わる教職員に対して発達障がいに関わる研修を行うことも不可欠ではないでしょうか。

調査を進めていく中で、次々と新たな課題や疑問が見つかり、継続的な調査の必要性を強く感じました。自治体での基礎データの把握や要綱・規定の整備をお願いするとともに、当団体では、今後も調査を継続して現状把握に努め、よりよい支援体制の構築に向けて取り組んでいきます。

※この解決策は、あいちコミュニティ財団の「あいちの課題深掘りファンド」2014年度助成先による提案です。