高齢化はどこで進んでいるのでしょうか? 岡崎市の町別高齢化率ランキング上位25町(352町中)を見ると、人口密度の低い中山間地だけではなく、市の中心部においても高齢化が進行していることがわかります。
岡崎市の中心市街地の北のはずれに位置する松本町は高齢化率が20位(352町中)で、市平均(19.8%)と比して倍(39.4%)、15歳未満の子どもが半分以下(6.0%)となっています。松本町はかつて、買い物に不自由しないまちでしたが、今では、店舗は数えるほどになりました。また、戦後に松本町の松應寺(しょうおうじ)境内に形成された商店街(通称:松應寺横丁)では、31軒中14軒が空き家(空き家率45.2%)で、4mに満たない路地に面した建物は現行の法上、建て替えができず、老朽化が進行する一方。まさに「高齢化」と「空き家」の2つの問題を抱えている地域でした。
そうした地域課題の解決を目指し、2011年に地元町内会、松應寺、中間支援NPO(りた)の3者により松應寺横丁まちづくり協議会(以下「まち協」)を設立し、まちの課題を再認識するために、町民アンケートを実施し、担い手を発掘するために松應寺の境内を使った縁日を開催しました。
次に、まち協は担い手の日常的な活動拠点をつくるために、自治体の助成金で費用を調達し、空き家を改修し、軽食が提供できる厨房と雑貨を販売できるレンタルボックスからなる「松本なかみせ亭」を開設しました。なかみせ亭は、自分の得意を発揮したい担い手の受け皿となり、空き家が利用可能な資源(ストック)になり得ることが示されたことで、周辺の空き家を活用した着物屋、フォトスタジオ、アンティークショップが開店し、多世代のまちづくりへとつながりました。
こうして空き家を活用することで地域活力は高まってきたものの、困りごとの程度が幅広く、嗜好も多様で、担い手の有するシーズを細かい高齢者のニーズに適切に結びつけることは困難であったため、高齢者支援のあるべき形を先進事例から学ぶ必要がありました。
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