中途視覚障がいになった人が会社を辞めてしまうのはなぜでしょうか。会社に中途視覚障がいの人に対応する余裕がないからでしょうか。それとも、障がいになった方が、周りの人に迷惑をかけたくないからなのでしょうか。

ここで質問です。「あなたは視覚障がい者が仕事をするイメージが湧きますか?」 もしかしたら、あんま・鍼・灸・マッサージをしている姿をイメージされたかもしれません。視覚障がい者の就職件数を見ると、約半数以上があんま・鍼・灸・マッサージに就職しており、視覚障がい者の仕事のイメージとなっています。しかし、これらの職業には資格が必要で、3年間学校に通わなければならず、中途で障がいとなった方がすぐに就職できる道ではありません。

これまで会社へ電車で出勤し、パソコンの画面を前に終日作業をした人の目が見えなくなった時、どうやって通勤し、仕事をするのか。実は問題の根っこはここにありました。障がい者自身も雇用者も、視覚障がい者が通勤し、事務的仕事をしているイメージが湧かないのです。

調査を進める中で朗報もありました。高齢・障がい・求職者雇用支援機構が発行する障がい者雇用マニュアルコミック版「視覚障がい者と働く-理解と配慮で、ともに働く環境づくり-」では、職場適応援助者(ジョブコーチ、職場適応への支援)や中途視覚障がい者の職場復帰のポイント、そして費用助成制度などがわかりやすくまとめられています。残念だったのは、この冊子が障がいをもつ当事者にさえ知られていないことです。

課題の深掘りを進めていく中で、取り組むべき課題は、既存の制度を最大限活用し、この「視覚障がい者の働くイメージ」をつくることで、働き続ける方法をあなたとともに考えることであることが見えてきました。

この課題に取り組んでいる団体