現代社会において「自己肯定感」が足りないことが問題となっています。自己肯定感とは『自分は存在価値がある、大切な人間だ』という感情のことです。他の先進国では「自分自身に満足している」と答えている人が7割に上るのに対し、日本では5割を下回っています。

自分を大切に思えない人が、他者を大切に思うことは決して容易ではないでしょう。自分、そして他人も大切な一つの命。「大切にする」とはどういうことかを理解できないことが自殺、いじめ、また、虐待をも生む一因と考えます。

子どもに目を向けると、2011年度の文部科学省の調査によると、全国の小・中学校のいじめの認知件数は63,873件、愛知県では7,900件にのぼります。また、自ら命を絶つ児童生徒も存在し、2011年度は全国で200名もの命が失われました(小学生4名、中学生39名、高校生157名)。行政でも対策がとられているにもかかわらず、一向に改善される気配はありません。この数字は氷山の一角に過ぎず、心に傷を負うのは被害者のみではないことから、その影響は計り知れません。

また、子どもを育てる母親の立場においては、現在、全国で結婚・出産後に仕事を辞める人は6割といわれています。会社という所属を離れ、単世帯、見知らぬ場所での子育ての中、育児書通りにいかない子育てに「こんなはずじゃない」と自信を失う人が多い現状があります。日中に誰とも話すことができず、慢性的な睡眠不足、疲労、さらに追い打ちをかけるように泣き続けるわが子に対し、ついにはかわいいと思えなくなり、思わず手を挙げてしまう…。2012年の愛知県虐待相談対応件数は3,264件(前年比24.1%増)で、3年連続で大幅に増加しています。このような問題は例外的ではなく、ごく身近に存在します。

孤独な子育てにより自己肯定感を失った母親に育てられた子どもは、不安の中で育ちます。自分に自信が持てず、未来に希望を持てないことが、子どもたちが本来持っているはずの生きる力を奪い、いじめや自殺の負の連鎖を生むと考えます。

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