愛知県内にはどのくらいのNPO法人があるか、ご存じでしょうか。

2012年3月31日時点で「1,524」のNPO法人が県下で認証を受けています。この認証数だけを見ると、47都道府県の中で8番目の数字です。しかし、これを“人口10万人当たりのNPO法人数”にしてみると、びっくりする結果が明らかになります。「20.5法人(人口10万人当たり)」という数字は、なんと全国で【ワースト2】なのです。

任意団体など、NPO法人以外の形態で取り組んでいる人(団体)の数が入っていないとはいえ、この数字からわかるのは、“地域の困りごとを解決しようと取り組む人の数”が、愛知県はとても少ないという事実です。行政にできることが今後小さくなっていく中で、これからの地域の担い手として、NPOはますます存在感を増していくはず。その数が少ないという事実は、これからの地域を考えたときに、大きな課題のひとつと言えます。

では、なぜ“地域の困りごとを解決しようと取り組む人の数”が少ないのでしょうか。その理由のひとつに、NPOを取り巻く「お金」に関する厳しい実態があります。

想像してみてください。地域の困りごとを解決しようと、ひたむきに取り組んでいるNPOの話です。これまでの実績から地域の方からも信頼を得て、日々の取り組みは成り立っているとしましょう。そんなNPOが、切迫する地域の困りごとに対応して、新たな取り組みを始めることにしました。その元手として、まとまったお金が一時的に必要です。どのようにして、そのお金を調達するでしょうか。

『愛知県NPO財務分析調査事業』によると、愛知県認証のNPO法人の借入金残高は「約27億円」です。そして、その借入金の大部分が、役員などの内部関係者による持ち出しであると考えられています。つまり、地域の困りごとの解決に取り組む人たちの多くが、自分たちのお金を持ち出しながら、その取り組みを続けているのです。この実態は、取り組みを続ける(あるいは、始めようとしている)人たちにとって、大きなハードルだと言えます。

ここまで読んで、その解決策として、既存の金融機関の存在を思い浮かべた方もいらっしゃると思います。

しかし、前述の『愛知県NPO財務分析調査事業』によると、愛知県認証のNPO法人の金融機関からの借入は「約7.9億円(41団体)」となっています。このことは、借入金総額の「約27億円」のうち、金融機関からの借り入れは3割に満たないことを示しています(残り7割の多くが、内部関係者からの借り入れであると考えられます)。また、借り入れを実現している「41団体」の活動分野を見てみると、そのうちの「28団体(68.3%)」が「保健・医療・福祉」分野の団体であり、活動分野にも偏りがあることがわかります。

NPOと既存の金融機関の間に入って、金融機関では対応できないNPOを支え、同時に金融機関の対応力を育んでいく取り組みが、いま必要とされています。

★参考★
・特定非営利活動法人の申請受理数、認証数等
https://www.npo-homepage.go.jp/pdf/pref_information.pdf
・NPO認証法人数(人口10万人当たり)
http://www.pref.okayama.jp/kikaku/toukei/101/H24/24-070.pdf
・愛知県NPO財務分析調査事業
https://www.aichi-npo.jp/5_NPO_shien/1_aichiken/5_sonota_shiryo/23_zaimu/23zaimuchosa.pdf