今、公的支援を受けられない子どもがあふれています。学校や家庭、地域にも「居場所」がなく、社会性が乏しいために孤立し、対人関係もうまく形成できないまま、大人になっています。障がい者手帳を持っている方や、引きこもりやニートの受け皿は徐々に整っていますが、非行の問題を抱えている子ども・若者については「受け皿」がないのが現状です。

国は2008年より「非行等問題を抱える青少年の立ち直り支援推進事業」を開始しました。しかし、名古屋市は警察の少年サポートセンターのみで、非行についての居場所づくりや具体的な対応は整備できていません。

「少年非行発生と地域の特性との関連に関する研究」によると、非行(全刑法犯)の発生率は愛知・岐阜・三重県にある市で名古屋市が1位となっています。また、2012年の愛知県警察「非行少年統計データ」では、不良少年は県内に70,000人以上いて、その半数を高校生と無職者で占めるとされ、実際にはこの倍はいると想定されています。不良グループは大人への強い不信感を持っており、かつグループ集団で行動をともにするため、集団を相手に更生・指導は非常に難しいのが現状です。東京や大阪に比べ、愛知県は発達障がいを持つ子どもも多く、コミュニケーションが取れない等の要因から非行に走っている場合もあります(文科省「平成22年学校基本調査」)。

名古屋市などの都市部は人の出入りが多く、隣人が誰かわからないなど、地域関係も希薄です。子どもが問題を抱えても他人扱いで、地域のサポート体制がないために孤立しやすくなっています。学校も孤立した保護者との信頼関係が築けないために情報共有ができず、友だちや信頼できる大人がいない生徒は放置されています。また、スクールカウンセラーも予約制で、登校しないとカウンセリングを受けることができず、教育現場での環境整備には時間がかかります。

孤立している子ども・若者(親も含む)は社会資源との結びつきがなく、支援機関の存在を知らず、相談へのステップを踏めない場合が多くなっています。ホットラインや相談機関は増えているが、「子ども本人」からのSOSはほとんどありません。

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