日本における日本語指導が必要な外国人児童生徒数は、2011年の統計で28,500人余。愛知県はその中で最も多く、5,623人と全体の2割近くを占めており、その増加傾向は止まるところを知りません。(数字は文部科学省の発表で、潜在的にはこの数倍とも言われています。)

子どもたちの母語はポルトガル語、中国語、フィリピン語、スペイン語と多言語化が進んでおり、学校は受け入れや指導の経験が乏しく、教師たちは対応に苦慮しています。子どもたちは、家庭では母語を使っているため、日本語に触れることが少なく、教科学習に必要な漢字の習得に苦労しており、ダブルリミテッド(母国語、日本語双方とも未発達な状態)となる子も少なくないのが現状です。その結果、学習意欲を喪失し、高校進学をあきらめる子どもも多く、中学校からドロップアウトした少女があっという間に母親となってしまった例すらあります。ダブルリミッテッド状態の母親に育てられた子どもの行く末を思うと、さらに暗い気持ちになります。

また、そうした結果はドロップアウトだけに止まらず、外国人の子どもたちの高校進学率にも表れ、日本人に比べ、極めて低い数字となっています。日本での生活暦が5年以上の16歳と17歳を抽出して行った調査で、日本人の高校在学率が9割を超えるのに対して、ブラジル人は35%~50%、フィリピン人は40%~45%であることがわかっています。さらに大学在学率では、日本人が3割前後であるのに対し、フィリピン人は0~5%、ブラジル人とペルー人はほぼゼロという結果です。

学校だけではこうした状況に十分対応できず、それを改善しようと、愛知県にも多数の日本語教室ができています。しかし、学校の宿題をこなすのに時間を取られたり、教科学習を後回しに日本語検定の勉強をさせたりするケースも見受けられ、ダブルリミテッドを防止し、高校進学につながる教科学習への十分な支援ができていないのが現状です。

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