全国で毎年2,000人以上の子どもが小児がんを発症し、1ヶ月以上の長期入院を余儀なくされています。2016年にNPO法人ぷくぷくばるーんが実施したアンケート調査で、小児病棟の入院患児のうち、未就学児は57%(127人/221人)、小学生は19%(42人/221人)に対し、中学生は14.5%(32人/221人)でした。つまり、未就学児が半数以上、小学生まで含めると約76%です(愛知県内の5病院へのアンケート調査より)。近年、長期入院する子どもがいる病院の多くの小児病棟には、保育士やCLS(チャイルドライフスペシャリスト:※1)、HPS(ホスピタルプレイスペシャリスト:※2)といった専門家が配置されています。また、ボランティアが訪問してさまざまな内容の遊びを提供することで、患児の「遊び」に関してはかなりサポートされるようになってきましたが、遊びの重点的なサポートは人数の多い未就学児~小学校低学年が対象になっています。

では、中学生は治療以外の時間をどう過ごしているのでしょうか。病院へのアンケートより、院内学級や訪問学級で勉強をしている時間を除いた自由時間の過ごし方として、「勉強(2病院)」や「わからない・その他(3病院)」という回答もあるものの、「ゲーム(5病院)」「インターネット・メール(4病院)」「TV・DVD(4病院)」「寝ている・何もしていない(3病院)」などが多くなっています。これは、中学生の入院患児数が少ないために同世代の交流が限られていること、また外部ボランティアによる年齢に合ったイベントの提供が乏しいことが背景となっていると考えられます。

思春期の子どもにとって、通常の家庭生活、学校生活から長期間離れ、社会とつながるものはゲームやインターネット、TVなどのみという生活は、社会性や生活力の形成に大きな影響を及ぼします。闘病中であり思春期というデリケートな時期の中学生には、「人との関わり」を大切にするサポートが必要です。

※1:医療環境にある子どもや家族に、心理社会的支援を提供する専門職
※2:遊び(ホスピタル・プレイ)を用いて小児医療チームの一員として働く専門職

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