愛知県のB型事業所で働いている障がい者の平均時給約192円

みなさんは今、1時間働いていくらの報酬を得ているでしょうか? みなさんの受け取る時給が192円だとしたら、どのように感じるでしょうか?

愛知県には現在、約34万人の障がい者がいます。2010年の県調査によると、障がい者の26%の人がなんらかの形で働いています。働いている場所としては50%が一般企業、25%が福祉的就労、それ以外は自営業などです。福祉的就労の中でも大多数を占めているのが、支援を得ながら生産活動をし、工賃を得るB型事業所です。このB型事業所で働いている愛知県の障がい者の平均時給が約192円です。国や県はこの工賃を上げる努力を「工賃向上5か年計画」として実施し、2011年に14,027円/月だった工賃は、2014年には15,916円/月にまで上がりました。しかし、これを時給にすれば、約192円となるのです。

障がいがあると医療費の補助や税をはじめとした優遇処置があり、名古屋市在住の場合は公共交通機関が無料となります。しかし、生活必需品は障がいがあるからと言って安く買えるわけではなく、一般で買うのと同じように費用がかかります。障がいのある人が一人で生活することを考えた場合、障害年金(2級で約64,000円/月)を受給して、グループホーム(家賃、高熱、朝夕食事含む平均費用:約50,000~60,000円)で生活するとしても、工賃が15,916円/月では日常に必要なものを相当切り詰めないと生活することは難しいのです。

昨年、障害者差別解消法が施行され、企業も障がいを理由に雇用において差別しないことを求められています。また、民間企業の障がい者の法定雇用率も2013年には2%に上がり、障がい者の雇用の機会は増えています。しかし、一般就労がさまざまな事情でできない人も多くいます。そのような方も福祉施設で適した支援や労働環境が整えば各々の力を発揮し、働くことができるにもかかわらず、そこで働いて得る報酬は驚くほど低いのです。

障がいがあっても適した環境で働き、納得できる報酬を得、社会の中で生活する。当たり前のことがまだ実現できていません。

この課題に取り組んでいる団体