愛知県の小児がん罹患者数は149人

「学校に行って授業を受けたい」。「友だちと外で遊びたい」。入院している子どもたちの生活には、そんな当たり前の日常がありません。教育面では院内学級(※)の設置や訪問教育等のサポートがある一方で、精神面では同年代の友だちと一緒に遊ぶ機会が限られ、その年代に合った関わりが難しいなど、十分なサポートがありません。
※入院中の児童・生徒のために病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級

スクリーンショット 2016-08-19 09.33.14
長期入院中の中学生に不足しているのは、学業よりも学業”以外”のサポート

全国で毎年約2,000人の子どもが小児がんを発症し、1ヶ月以上の長期入院を余儀なくされています。小児病棟を抱える病院では、院内学級や訪問教育制度の学業支援に加え、保育士の配備やイベント開催など、学業以外のサポートも整備されています。しかし、学業以外のサポートは、長期入院の子どもの過半数を占める未就学児向けに偏っており、少数派である中学生に対してはほとんど実施されていないのが現状です。
 思春期まっただ中の中学生にとって、通常の家庭生活や学校生活から長期間離れることは、社会性や生活力の形成に大きな影響を及ぼします。無事に治療を完了しても、退院後の復学や社会復帰に苦労しているケースも少なくありません。
 そこで、長期入院の中学生に向けて、学業以外の面でサポートできることはないかを把握するため、小児病棟のある愛知県内の病院に対しアンケート調査を実施した結果、5病院から回答が得られました。

<長期入院の中学生の実態と満足度>
 長期入院の中学生の過ごし方は1位が「ゲーム」(選択率100%)、2位が「インターネットやテレビを見る」(同80%)でした(図1)。自由時間のほとんどを1人で過ごしていることがわかります。小児病棟内にいる中学生の数が少なく(5病院に長期入院中の子ども221名のうち、中学生は32名(14.5%):図2)、同世代間の交流の幅が限られている上、中学生向けに提供されるイベントがないことがその背景と思われます。また、その変化に乏しい日常が、中学生の入院生活満足度の低さにも表れています。

スクリーンショット 2016-08-19 09.41.18

スクリーンショット 2016-08-19 09.44.32

<長期入院の中学生のQOL向上のための支援、関わり>
 5病院中3病院が、中学生のQOL向上や生活力向上のために教科外の指導や支援、関わりの必要性を感じています。具体的な支援内容としては、中学生が自主的に取り組むことができる習いごとや部活動の実施を求める声が得られました。

この課題に取り組んでいる団体