愛知県(※1)では、15歳以上無業者(※2)のうち58万5千人が「就業」を希望しています。うち、求職活動中の数は26万人で、求職活動期間が1年以上の無業者は7万7千人(2年以上に至っては4万2千人)にのぼります。
※1:2012年就業構造基本調査結果より(愛知県分)
※2:普段仕事をしていない者、すなわち、普段まったく仕事をしていない者および臨時的にしか仕事をしていない者
⓵一定の割合で存在する大人のひきこもり・長期化する社会問題
今回の調査で、全体の6.4%(27名)の方(※1)が周囲に「大人のひきこもり」が存在すると回答しています。これは2010年の内閣府調査のひきこもり(親和群含む)5.8%に近く、当事者への調査でなくとも一定の割合のひきこもりが把握できることを示しています。
そのうち、ひきこもり期間3年以上の該当者は15名(55.5%)と過半数を占め、この社会問題が深刻化していることを表しています。
※1:対象者が重複していないと想定した場合の割合(人数)
⓶大人のひきこもり当事者と社会がみる意識のズレ
周囲に大人のひきこもりがいると回答した人で、その人が意欲喪失・能力不足のためとしている人が64.0%と過半数にのぼりました。
一方で、当事者である「ひきこもり」経験者2名へのインタビュー調査を実施したところ、ともに社会とのつながりを失い、長期のひきこもりを余儀なくされていたこと、就労・社会復帰への考えを抱き続けるも、体調に応じた仕事が見つけられない状態が続いたことが確認できました。(現在1名は経営者として活躍し、もう1名は軽作業等を通じて徐々に活動の幅を広げています。)
また、当団体のクライエント(※2)は、4回までの訪問期間中に、簡単な靴磨き等の在宅でできる仕事、人とは接しないポスティングの仕事を行うようになっています。決して仕事に対する意欲喪失、能力不足があるとは言えず、これまでの居場所づくり、就労訓練といったひきこもりを解消させる支援制度だけでは、当事者ニーズを十分に拾えていない部分があることを表しています。
※2:当団体が訪問支援するひきこもり当事者
⓷身近な社会問題と他人事という意識のズレ
大人のひきこもりに対する課題・施策に関して、無関心の人はおよそ3人に1人(29.0%)にのぼりました。15人に1人(6.4%)の割合で大人のひきこもりがいるほど身近でありながら、自分はならないという思い込みのズレが生じていると捉えることができます。
これらの結果から、当事者と社会(の目)や支援制度との間にあるズレ(すき間)を埋める支援、とりわけ早期の段階で社会とつながる支援・仕組みづくりの必要性があると言えます。
最近のコメント