愛知県の高等学校に通う外国人生徒数は2014年度時点で1,057人。この6年間で約1.7倍(※1)となっています。日本で生まれ育ち、日本で進学・就職期を迎える外国人の若者も増え、豊橋市では高等学校に通う外国人生徒の3分の1以上が「日本生まれ」と回答しています(※2)。

 今回の調査を通し、外国人高校生が就職の夢を叶える上で、下記の4つの課題が見えてきました。

 

(1)外国人高校生の正確な実態が把握できていない

小中学校では在籍児童生徒の国籍を把握していますが、高校では把握していません。そのため、中学校からの進学状況で外国人高校生の数はわかるものの、その後の在籍状況や卒業後の進路状況などは正確に把握できていないのが現状です。

 

(2)特徴的な高等学校卒業者の就職手続きに外国人高校生が対応できていない

日本の、高等学校卒業者の就職手続きは特徴的です。ある時期までは1社しか受けることができず、応募するには高校からの推薦が必要です。外国人高校生の多くは親に進路の相談をしていますが、外国人高校生はもちろん、親もこの特徴的な仕組みを知らないと考えられます。高校の教員は外国人高校生の進学・就職の際に「親のコミュニケーション能力」が課題であると感じていますが、親も含めた就職へのサポートはほとんどありません。
相談する相手

(3)外国人高校生がやりたい仕事や夢に出会う機会や学ぶ場がない

約6割の外国人高校生が将来の夢ややりたい仕事を持っていますが、その仕事や夢が見つかった時期は中学生が40.5%、高校生が25.7%と日本人と比較して遅くなっています。将来の夢ややりたい仕事と早く出会うにはキャリア教育が必要ですが、キャリア教育を実施している高校は7校中4校。そのうち、日本語力や学力の向上に日本人以上に努力が求められる外国人高校生に配慮している高校は1校のみでした。
夢が見つかった時期

(4)外国人高校生の日本語力や人柄が企業に伝わっていない

外国人を採用した経験がある企業の7社中6社が「国籍ではなく能力や人柄で採用している」と答えています。個々の企業が必要としている日本語力はそれぞれ異なりますが、就職希望者が企業に提出する書類は全国統一の応募用紙であるため、外国人高校生の日本語力は十分に伝わっていません。そのため、面接にたどり着くことができず、企業と外国人高校生が直接会う機会も少ないことから、外国人高校生の人柄も企業に伝わっていない状況があります。
参加したいイベント

※1:愛知県の高等学校に通う外国人生徒数:625人(2008年度)
※2:本事業で実施した豊橋市内の6つの高等学校におけるアンケート調査結果より

この課題に取り組んでいる団体