自分で歩いたり、座ったりすることが難しく、思うように動くことができない子どもたちがいます。また、食事を自分で食べることができず、口に入れてもらっても、うまく飲み込めずにむせてしまったり、呼吸をすることにも努力を要したりする子どももいます。
名古屋市の身体障がい者手帳所持者は、名古屋市健康福祉年報(2013年度版)によれば、現在78,399名(名古屋市人口226万人の3.5%)。県立名古屋特別支援学校、県立港特別支援学校に通う重度重複学級に在籍する児童生徒は、300名弱です。名古屋市立の肢体不自由学級に通う重症児は数名です。名古屋市に住む児童生徒の同年齢人口のおよそ1,000人に2人が自分で座ることや動くことが難しく、知的障がいを併せていて、すべての生活動作に全面的な支援を必要としています。人工呼吸器や胃ろう、気管切開などの医療的ケアを必要としている子もいます。
重症児と呼ばれるこの子どもたちは、早期からの医療による治療、訓練のおかげで、生命を維持することができ、医療的な配慮のもとで家庭へ帰ることができるようになってきました。しかし、ご家族、特に母親は、毎日の生活や子育て上の課題に悩みつつ、日々の介護と治療、訓練に追われています。母親は、重症児を育てた経験がなく、不安と悩みが絶えません。どのように育てていけばよいのか、子育ての考え方や進め方がわからず、医療的な見方に偏って、生活のすべてが訓練的なものになってしまう傾向さえ少なくありません。このような障がいの重い子どもと親、支援者のための基礎的な支援として「ふれあう力」「食べる力」を大切にした子育ち支援や研修が必要となっています。重症児と呼ばれる子どもたちは、重症児といわれる以前に、普通の子どもであることを忘れず、当たり前の子育てを豊かにしていくことが大切です。
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