地域に暮らす難民には、下記2つの主な課題があります。

(1)日本に滞在する難民の現状
日本に滞在する難民は、母国から逃れざるを得なかった背景から、同国人のコミュニティに入れなかったり、迫害の経験によるトラウマを抱えていたり、日本で生活していく以外の選択肢がなかったりと、自発的に日本にやって来た移住者とは異なる難民特有の事情を抱えています。

特に、難民認定申請中で法的地位が安定しない難民は、見知らぬ人と交流することが自らの身の危険だけでなく、母国に残してきた家族の身の危険にもつながる恐れが大きく、言語も文化も異なる日本社会において孤立しがちです。

(2)難民を受け入れる地域住民・日本社会側の課題
まず、難民が見えにくい存在であること、また難民に対して難しいイメージを持っている人が多いことが挙げられます。「難民」と聞くと、遠い国の難民キャンプの人びとを思い浮かべる方が多いですが、日本に保護を求めて逃れてくる難民は、近年急増しています。特に、東海地域では申請者の増加が目立ち、2006年に名古屋入国管理局での難民認定申請者は19人でしたが、2010年には70人、2011年に225人、2012年に373人、2013年に517人と増え続け、2014年は700人以上の申請者がいることを確認しています。

しかし、日本に逃げて来た難民たちは、一見して他の外国人と見分けがつかず、顔が見えない存在であるだけでなく、難民に対して「不法滞在者」などマイナスなイメージを持つ人も多いのが現状です。さらに、最近は新聞報道などでも難民申請者の急増について、難民制度を就労目的や退令回避目的で悪用する者、いわゆる「濫用」者が急増しているからなどと説明されることがあります。しかし、難民と移民が混在する混在移住の問題は日本に限られたものではありません。また、この説明ではまるで、難民申請数が急増する以前は、難民たちが適切に保護されていたかのような印象を与えますが、増えている難民の実態を知る地域住民はほとんどいません。

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