文部科学省が 2014 年 8 月に発表した「2014 年度学校基本調査」(※1)によると、中学校において「不登校」を理由とする生徒数は 95,000 人と、前年度より 4,000人増加しています。2013 年度の調査(※2)によると、愛知県内における中学校の生徒数は 221,212人中 6,111 人(2.76%)が不登校を理由とする長期欠席者です。36 人に 1 人が中学校へ行けておらず、全国の 39 人に 1 人(2.57%)と比較しても愛知県は不登校生徒が多い県と言えます。また、半田市では中学校の生徒数 3,813 人中 129 人(3.38%)、まさに 29 人に 1 人が長期にわたり学校に行くことができず、進学を断念せざるを得ない状況にあります。彼らは夢ある未来を描けず、苦しんでいます。

文部科学省による調査(※3)によれば、「不登校になったきっかけと考えられる状況」で最も多い回答は「無気力」、ついで「不安など情緒的混乱」でした。「無気力」を生む要因の一つに「ネット依存などによる生活リズムの乱れ」がありますが、不登校の直接的な要因として認知されるケースは少なく、子どもたちを取り巻く周囲の理解は薄いのが実情です。

さらに、不登校の子どもを抱える親も大きく悩み苦しんでいます。親の相談内容は、進路や心の相談など多岐に渡ります。これらの相談を受ける機関は半田市内に 3箇所ありますが、不登校に関する相談を受けられるのは 1 箇所のみで、教育委員会内にある相談機関のため、相談しにくい現状があります。

学校に行くことができない子どもたちが希望を持ち、子どもたちの「生きる力」をのばすことができる地域や社会にすることは、全国的にも不登校生徒の割合が多い愛知県や半田市にとって重要であり、その課題は大きく 3 つに分けることができます。

(1)学校に行くことができない子どもたちに、生きる力をのばし学習する場と安心して過ごすことができる環境を継続的に提供することが難しいこと

(2)悩みを抱える親たちの相談に応え、精神的負担を和らげる場と力が不足していること

(3)不登校の子どもたちをつくらないための教育や啓蒙活動が不足していること

参考資料:
※1 2014 年度学校基本調査(速報値)の公表について/文部科学省
※2 2013 年度学校基本調査/文部科学省
※3 2012 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査/文部科学省

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