【障がい者】名古屋視覚障がい者職業開発委員会

視覚障がい者

視覚障がい者の就労の課題は「事務職で働く姿のイメージの欠如」にあります。「あいちの課題深堀りファンド」2014年度助成事業(※1)においても、視覚障がい者の就労課題の改善への提案として、以下の4点を挙げています。

1.自己の障がい特性の理解
2.当事者と企業とのコーディネート
3.ワーキングシェア
4.広報活動

事務職就労を目指す視覚障がい者が、あきらめることなく就職活動に挑めるように、(1)覚障がい者への初期教育・職業訓練の実施(2)企業からの継続的な業務請負(3)パソコン訓練の場の継続的な確保に取り組みます。(1)視覚障がい者への初期教育・職業訓練の実施に重点を置き、「視覚障がい者が事務職を疑似体験できる職場環境の整備」を提案します。

具体的には、通常のパソコンに音声読み上げソフトを入れることにより、マウスを使用しない操作が可能となります。さらに、拡大読書器を導入し、紙を定位置にセットすると、紙に書かれた文字を読み上げたり、データへ変換することで、視覚障がい者が事務職に必要な職場環境を整えます。当事者は、「そもそも企業で自分の能力を発揮できるのかがわからない」「何ができるのかがわからない」などの不安を抱えています。この不安要素は「個人カルテ」(※2)を作成することで解決していきます。ハローワークへの求職活動の際、これを提示し求人先とのマッチングに活用します。そして、企業にとっては、視覚障がい者へ業務を試験的に依頼することで、視覚障がい者はどんな業務ができるのか、業務の仕上がりはどのようかなどを知る機会となります。

本事業では、3名の視覚障がい者が1人につき1〜2件の業務に3ヶ月間取り組み、事務職をする上での初期教育と職業訓練を実施します。当初はできなかった作業が訓練を通してできるようになり、業務の精度を上げていくことで、当事者は自身の職業能力に自信を持つことができます。業務の精度を上げることは、(2)企業からの継続的な業務請負にもつながります。さらに、本事業での業務事例を他の企業へ広めていくことで、視覚障がい者へ業務依頼をする企業や雇用を検討する企業を増やしていきます。そして、今後も事務職への就職を目指す視覚障がい者を受け入れられるよう、(3)パソコン訓練の場の継続的な確保に取り組んでいきます。

※1:愛知の視覚障がい者の職業実態調査事業 http://aichi-community.jp/posts/9399
※2:視覚障がい者の障がい特性理解のために、事務職スキルの「できること」「できないこと」を記した帳票を指し、ハローワークとの面談時に活用するもの。

※この解決策は、あいちコミュニティ財団の「名フィル子どものエール基金」2014年度助成先による提案です。