国土交通省は震災復興事業や2020年の東京五輪開催に向けて、技能を持つ外国人労働者を2015年1月以降に受け入れる予定です。昨年度の外国人労働者の数は72万人で、登録義務化以来過去最高。2012年度の文部科学省が発表した日本語指導が必要な外国人児童生徒数は27,013人余で、愛知県はその中で最もその数が多く、5,878人でしたが、潜在的にはこの数倍とも言われています。
また、文科省は学校教育法施行規則の一部を改正する省令を2014年1月14日に公布し,同年4月1日から施行。外国人児童生徒への日本語指導充実のため、特別の教育課程を編成・実施しようとしています。一方、子どもたちの母語はますます多言語化し、学校は対応に苦慮しています。さらには、この法令の趣旨を実行するための教材がまったく足りません。
NPO法人にわとりの会では今年度、教科学習に必要な漢字習得用教材(1~3年生対応)を40セット配布し、それに即した「にわとり式漢字検定」を実施し、ダブルリミテッド(母国語、日本語双方とも未発達な状態)の解消に一石を投じました。これにより、参加した日本語教室等から漢字学習に対する学習意欲の向上が見られたとの報告を受けています。しかし、愛知県内にはこのセットを使うとよいと考えられる児童生徒が約9,000人います。すべての児童生徒に普及するためには、10人で1セット使うとすると、900セットが必要です。また、本課題は一NPOが担うべきものではなく、行政が行うべきという声も大きくなり、行政へ政策提言すべき時期に来ていると実感しています。
愛知県の外国人生徒の高校進学率は中学校の在籍人数の約10%ときわめて低く、その大きな原因として4~6年生の漢字の未習得の問題があります。この状態を改善するために、これらの漢字学習用の教材配布や、それを使いこなすことのできる指導者の育成が急務です。学校教育法が改正され、外国人児童生徒に手厚い教育をするという目標がある一方で、具体策は貧しく、教材やノウハウの不足が露呈しているのが現状です。
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